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天上の世界は遠く高かったから、速度をあげて落ちていくうちにあの美しい衣は全部剥がれ落ち、天使はむきだしの肌に直に風を受けた。体中が、痛かった。
また、自慢の羽も青い炎をあげて燃え朽ちてしまった。その熱さと奇妙な冷たさは、天使の心にずしりと重かった。
陶器のように清澄だった顔も、積み重なった不安と増していく痛みに歪み、風があまりに強いから涙が止まらない。
とうとう天使は、固くでこぼこした地面へと叩きつけられた。
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