エデンいらずの聖書

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  目を、閉じた。 途端に負のイメージの連鎖が巻き起こる。不安なんて消えちゃあいなかった。 天使は何もかも捨てて逃げようとしたのに、結局は逃げられなかった。また身を投げようにも、この世界にはこれ以上落ちる余地のある場所が見当たらない。 付き纏う不安に絶望した天使の元に、同様に天から逃げ出した天使が落ちてくるのは、もう数年してからのこと。 2人は、人間になることにした。   これは余談だが、最初の天使は後に言うところの男だった。男の天使は1人で不安を抱えたまま気の遠くなるような数年を過ごしたため、今でも男は概してさみしがりらしい。     end.
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