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その日、起きたときに"レイコサン"はいなかった。台所にも、洗面所にも、どこにもいなかった。今まで何も言わずにどこかへ行くことなんて無かったのに。
本当に誰もいないことを確認してから、ぼくはテレビ(触っちゃダメ、と言われていた)をつけた。
「‥続男児誘拐殺人事件の犯人と思われる女性が今朝S警察署前のビルから飛び下り自殺をはかりました。現在意識不明の重体、動機は不明です。現場のRさ…」
プツン、
さっきまで"レイコサン"の顔が映っていた画面に、今度はぼくが浮かぶ。
"レイコサン"はレイコさんじゃなかった。写真の下には、むずかしい漢字の名前が書いてあって、でもそれがレイコと読まないことはぼくにもわかった。
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