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ちらっとテーブルを見ると、メモがあった。実際に見たことは無いけれど、きっとこれは"レイコサン"の字。細いところがよく似てる。
「ユウくん。逃げないでくれてありがとう。でも、さようなら」
ぼくはそのメモを心のなかで4回読んでから、びりびりにちぎってゴミ箱に捨てた。となりにあった千円札は、大事にだいじに折りたたんだ。
それから初めて"レイコサン"の部屋に行き、上から2番め・右から3番めの引きだしからはさみをちょうだいした(ママがこの前はさみをなくしたことを、ぼくはちゃんと覚えている)。
千円札2枚を右ポケット、はさみを左ポケットに入れて、ぼくはぼくのじゃない誰かのスニーカーをはいた。それはかっこよくて、ぼくのサイズにぴったりなのだ。
とんとん、とつま先で床をたたいて、右手でお札を触る。
とりあえず、いつものケチャップを買いに行こう。
end.
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