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ぬるま湯のような世界だった。
滲んだ絵の具みたいな空がどんより街を覆っていて、
道端には口をだらしなく開けた廃人が物を乞い、
かと思えば上等な背広の男が肩をいからせて歩く。
てっぺんが見えないほど高いビルジングの裏には、苔がびっしりと張り付いた墓場があった。
しかしあまりに高すぎて、誰もそんなことは知らない。
能面を着けた政治家が中身の無い政策に横文字のラッピングをし、考えることを失った市民は有り難くそれを頂戴する。
色の無い瞳はただただ万歳三唱を繰り返すだけ。
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