仮想現実(改)

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    歩き続けて街の外れ。 ヘドロまみれの赤ん坊、既に事切れた母親に縋りつく。 泣いて叫んで喚いて 小汚いその姿はこの世界で一番生に近しかった。 なぁに、どうせ俺も汚い。むしろこの子の方が真っさらだ。 そんなことを呟いて、男は赤ん坊を抱き上げる。   その、瞬間。   赤ん坊はカッと目を見開き、力いっぱい男の首を締める。 可哀相に、男は何が何だかわからずに死んでしまった。 そしてすかさず赤ん坊、男の懐から財布を抜き取る。 死んだはずの母親は、にっこり笑ってそれを受け取り、慈しむように彼を撫でる。     滲んだ絵の具が垂れてきたため、その後どうなったのか、私は知らない。   end.
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