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【悲観】 授業が終わり、教室を逃げるように俺は歩きだした。 今日は9月1日… こんな日は屋上でサボるのが1番だ… …と思ったが、気が付くと雨雲が空を覆っていた。 しょうがない…と思いながら、俺は第二音楽室へ向かった。 第二音楽室ー… 扉を開けると、嫌な気分になった。 先に先客が居たのだ。 「あっ!!カイだ!!」 「八重せんの授業はどうだった?」 先客とは、美々と弘樹だった。 俺は他に行く所が思い付かなかったので、まずここに居ることにした。 八重せんとは、先程の黒の眼鏡の厳つい先生である。八重先生の略… 「こんな時間にサボりかな?岳羽ぁ」 弘樹が昼飯には早過ぎるお弁当を食べながら聞いてきた。 「ああ…そんなとこ、ってかそうゆうお前らはどうしたんだ」 「私は涼みに…」 「俺はお腹減って…」 「………」 …俺は正直に呆れる 「岳羽ぁ、つーかなんかあったの?」 「えっ!?」 弘樹が漫画のように頬にご飯粒をつけながら、俺に言ってきた。 「そうだよ、なんか疲れてる?」 弘樹に続き、美々が言った。 そんなに俺は元気が無いのか… 「いやぁ…だってさ、思い出しちゃってな…今日、9月1日じゃん…もうすぐだな…って」 「えっ…何が?」 弘樹が不思議そうに眺めてきた。 「…っ!!……カイ…」 美々が驚きの表情を浮べ…俺を見てきた。俺は無言で美々に合図した。美々は悲しそうに喋り出した。 「弘樹は知らないよ…知ってるのは私と健治と…カイ…本当に話していいの?」 「ああ…問題ない」 それは少し前の話… 俺がまだ、人前でピアノを弾いてた時で… 今思うと…それは正しく恋だったと思う。 それは悲しくて苦しい話  
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