夏の俺

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【屋上】 今日は風が心地よい 今日は始業式だってのに何故授業があるのだか… そう、悩みや面倒事の時はいつも俺は此所に来る …屋上 学校の屋上は鍵が閉まっていて通常入れないのだが、俺は別である。 俺は生徒会に入っている。 2年になってから、冗談で健治が俺を生徒会に推薦した。しかし担任が真に受けてしまい、更には生徒会委員になってしまった。 その時の俺は健治を下僕同様に扱ったが、今は感謝している。 生徒会室の戸棚の奥にあった錆び付いた鍵 それを見つけなかったら今頃俺は健治に何をしてたか… 今日は夏だというのにそれほど暑くない。 此所は俺の憩いの場所 そう思ってたんだけど、最近は何かが足りない気がする。 でも何が足りないのかが俺にはわからない。 そういえば、此所は俺の憩いの場所だが…只一つの邪魔者が居る。 「キー…ガチャリ…」 屋上のドアが開く音 そのまま一人の女の子が入って来る。そして町並みを眺めながら屋上のフェンスに身を任せている。 夏休みの少し前、いつも通りに屋上に入ろうとすると鍵が開いていたのだ。その日から度々屋上に来るようになった。 しかしあの子は俺には気付いてはいない。それは屋上といっても、屋上ドアの付近の梯子を登った所のスペースに居るため、俺は見えないのだ。 でも少し困ってる…それは女の子が居る限り、俺は教室に戻れないからだ。降りて教室に戻ることは問題はないが、本来入れない屋上であるから、見つかると気まずいし…後々面倒だからだ。 俺はあの子の事は知らない 知ってることは… 指定靴の色から同じ学年 昼休みには必ず屋上に来ること そして…鍵を持っていること  
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