アルバム

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誰もいない部屋で椅子に座りアルバムを広げる 紙でできた表紙には所々染みができていて何処か懐かしさを覚えた 写真には忘れる事の出来ない想いでたちが顔を覗かせている 余程集中していたのかいつの間にか背後にいたヴァンに 声をかけられるまで人が傍にいることに気づかなかった 「1人で何してんだ?」 「ちょっと、あの馬鹿兄から奪い取ったアルバムをねー」 私の兄、ロイは妹の私から見ても重傷なくらい私を溺愛していて 彼が所有している”妹メモリアル”などというアルバムが腐るほどある 私としては恥かしいはなんだで発見する度に奪い取ったりしているが 一向になくなる気配を見せない 今見ている写真は私が5歳くらいの時だろう 屈託のない笑顔でこちらに笑いかけている が、暫くページを捲っているとその笑顔は影を潜めていた それを見て無意識に眉間に皺が寄ってくるのがわかる 思い出したくもないものがじわじわと広がっていく 隣にいるヴァンに気づかれないよう小さく溜息を吐いた 「お前とロイって昔っから今みたいな感じだったのか?」 「全然。どっちかと言うと私がべったりだったかな」 そう答えるとヴァンは信じられないという表情をする まぁ現状を考えれば理解されないのは仕方ない事だが その反応に腹が立ったのでヴァンの鳩尾に一発入れておいた ぴくりとも動かなくなった彼を無視して、写真にそっと触れる 瞳を閉じるとあの時の出来事が鮮明に思い出された
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