044 再会

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「はぁ……」 本日何度目かのため息。 なんで、こうなるかなー 体育祭において、広報部部長でもある俺は、広報部としての仕事も山積みなのに、 それに加えて、いつきと一緒に仕事だと? 無理だろ、絶対。 まあ、でも……いい機会だろう。 夏休み、全寮制の鷹岡学園は生徒を保護者の住む自宅へ泊まりに行くことを許可している。 去年の夏休み、 いつもだったら俺といつきは揃ってお互いの家に何泊かずつ泊まって、親と顔を合わせるのが年課だったのに、 それをぷつりとしなくなった俺達を、お互いの両親が心配していた。 もはや幼なじみってのは、俺達だけの関係じゃない。 両親まで巻き込んでる。 お母さん達は、深くは問い詰めて来なかったけど、なにかがあったことぐらいは察していたことだろう。 ところで今は、いつきの部屋へ向かっているところ。 ふと会長に渡された資料を見る。 これをポストにでも入れて、それで帰ってしまおうか…… いや、どうせこれから先、嫌でも一緒に仕事をする運命。 渡しがてら事情を説明して、仕事だけは普通にこなしてくれるように話をつけておこう。 重い足を引きずって部屋に向かう。
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