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「京、なんか…こいつらに巻き込んでごめんな…」
「いや…いい。」
阿賀野、宮田、加藤。
こいつらは、いつきが本当に好きで、大切らしい。
そのことを実感した夜だった。
あの後、買ってきたジュースやらお菓子やらを並べて、すっかりパーティーモードの宮田が、その場を仕切った。
「二人がいつまでも、幸せでありますよーにっ!」
そう言いながら促された乾杯。
渋々といったように、俺らもグラスを持って行き、重ねた。
──恐らく俺一人、罪悪感に似た気持ちを抱えたまま。
いつきとの関係は結局、形ばかりの恋人ってやつだ。
俺の中では、達也を想っていた時期があまりにも長かったし、
いつきと、一番の仲のあう親友、幼なじみであった時期なんかは、もっと長かったし。
そう簡単に、いつきをそういう意味で好きになんて、どうしてもなれないのが現実。
達也を見れば、愛しさが込み上がった。
めちゃくちゃにしてやりたくなったことだってあるし、
抱きしめて、痕をつけてやりたかった。
でも……いつきは?
ドキドキしたりはする。
それに、さりげない動作に惹かれているのも確か。
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