056 恋は思案の外

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「やばい…‥めっちゃ嬉しい」 いつきはそう言って、俺の肩に額をつけるようにもたれかかってきた。 いつも俺を惑わせて、 何よりも余裕な表情をしたいつきが、数少ないこの反応。 昔も、俺には見せてくれた。 今では、阿賀野だとかにも見せてたのかもしれないけど。 今はこれでいい。 これから、 全ては始まるんだから── 「あのさ、」 「なに?」 「一つ質問」 「……なに?」 「京と両思いになれたのは嬉しいけどさ、」 「あぁ..」 「そしたら俺さー、なんつーか……恋人として、それなりに色々したいなーとか考えちゃうわけ」 「……」 「京、タチだろ? 俺、同じくタチ。 でも俺、目茶苦茶お前を乱したい…‥」 俺の肩口で、軽く顔をあげて耳元でそんなことを言い出すいつき。 ムードがピンクになってきているのが自分でもわかる。 だが。 「俺が、 ‥……掘られるってことか?」 想像したこともなかった。 第一、こいつの頭の中はそれしかないのだろうか。 ……拒否権なんてないじゃないか。 .
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