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「俺は何もやってない!」
足の痛みに歯を食いしばりながら、目の前で突然怒りに震える友田を見上げた。
しかし友田は、首を振る。
「俺がヤられて、目覚めた時には、
俺はボロボロな状態で保健室に居て、洋介は犯人扱いされていた。
俺は洋介の後ろ姿を見たところで殴られたところまでの記憶がある。
洋介が俺にそんな、後ろから殴るなんてことが、できる筈がない。
あの時は、ただただ苦痛だった。
目隠しのせいで、顔も見てない。
声一つ、相手は漏らさなかったしな。
でも、今ならなぜそんな風にしたのかがわかる。
顔を知られたら、お前の目的は達成できない。」
その時を思い出しながら俺を見る友田の顔は、青白い。
しかも、友田は完全に、俺を犯人としてしゃべり続ける。
「だから、俺はっ──」
再び、弁解しようとすると、友田はそれを遮った。
「五月蝿い!!!!!
俺は、篠田が代わりに部長になったと聞いて、洋介に言った。
『篠田が仕組んだんだろ?』って。
でも洋介は、俺がその話をして恐怖するのを知ってたから、何もしなかった。
俺を気遣って。」
現場をおさえられた為に、兼田先輩が何を言っても、学園側は、何も聞かなかったのだろう。
そして、兼田先輩はあの事件の犯人にさせられたワケか。
「だから、……だから、
俺はお前が洋介を陥れた代わりに、一番の絶望を味あわせてやる。
運良く、お前は恋人をつくった。
しかもあの、遊び人。」
「……あ、遊び人?」
──いつき?
「俺は絶対に、お前を許さない。」
友田は一通り喋ると、部屋を出て行った。
扉の閉まる音が妙に響く。
(ワケがわからない。)
確かに、俺を疑うのは最もだ。
兼田先輩が問題を起こしたお陰で、俺は部長に『異例』になることができた。
しかも、その事件は教師たちが被害者を思って隠蔽した為、一般生徒は知らないのに、
俺は部長という立場を使って調べた為、知っていた。
本来なら関係者しか知り得ない情報を。
けど、……
(この状況はマズい。)
友田が何をしようとしてるのか、わからないが、
真実を伝えなければ。
いや、真実を調べなければ。
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