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「で、何があったんですか?」
静かになったところで、翔は再びそう聞いた。
しかし、何人かが口を開いたりするも結局何も話しださない。
その中、意思の強そうな一人がようやく口を開いた。
「会長様を僕の友達が呼び出しといて、悪いですけど、これは僕らが当然受けるべき傷なんで、すいません。
目を瞑って下さい。」
「シン!」
黙ってられないように、翔をここまで連れてきた奴が口を挟む。
「ダイキは黙ってて」
「黙ってられるかよっ」
「黙って!」
「やだ!」
「黙れ」
「やだ」
「黙っ「いい加減にして下さい!!!」
耐えきれず翔が大声を上げた。
一般生徒の前では、普段冷静に微笑むくらいしかしない翔が大声を出したことに、動揺を隠せない六人。
達也のおかげもあって、最近は少しずつ、柔らかくなった方だったが。
「話す、話さない。じゃないんです。
話してください。
生徒会長として、命令です、えーっと……名前は?」
その威圧感に近いものに、従わざるをえない。
「……………阿賀野 新之助です」
───そう。
翔は知らないが、
ここにいる怪我人のうちの三人は、京哉といつきとでパーティーと称して集まったあの三人だった。
加藤 俊吾
宮田 朗
阿賀野 新之助
殴られたのか、蹴られたのか。
定かではないが、各々、切り傷や痣が目立つ。
翔はこの生徒たちが誰なのかは知らない。
ただ、───目の前でこんな傷を負った生徒が居るのに、ただただ黙って、話してくれるのを待とうとは思えなかった。
事情は知らないが、こんなことが生徒の中でこれからも起こり続けるなんてことは、あってはならない。
そんな思いが翔の中にはあった。
「じゃあ代表して、何があったか話してくれますか?」
「………」
しかし、翔が問いかけても、その意思の強い目が、戸惑うように保健室の隅に逸らされただけだった。
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