061 最後の1ピース

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~紗矢視点~ 扉を開けると、手当てを終えて何か話をしていたらしい彼らがいた。 数は六人。 四人はあちらこちらに湿布や絆創膏をしていて、二人はきっと手当てをした奴なのだろう。 体操着の色からして、同い年の二年とみた。 いきなり入ってきた俺らに全ての視線は向けられていて、驚いた顔つきをしている。 「いきなりごめんねぇ?」 その場の雰囲気とは程遠い、相変わらず気の抜けた喋り方で隣にいた秋が第一声をかけた。 すると、頬に湿布を貼っている奴が口を開く。 「……何の用ですか、」 すかさず秋は答える。 「君たちに聞きたいんだけどぉ、京ちゃんにー恨まれるようなことしたの?」 あまりにも単刀直入すぎる聞き様に俺は思わず秋を見た。 秋は言葉ではわからないが、その表情はどこか、怒っているようにも見える。 秋が真剣な証拠だ。 急いでるのもあって、直感通りに切り出す秋。 そして、うろたえるかと思っていたが、彼らは少し悲しい表情を見せながらも、しっかりと俺らから目を離さない。 「確か、広報部の……」 「あ、……確か、副部長さん。」 流石に俺までは知らなくとも、秋くらいならわかるようだ。 「なるほど。だから、僕たちに事情を聞きに来たってわけか。」 半ば諦めたような口調で話すのは、黒髪の男。 そのまま淡々と話を始める。 「生徒会長にも話したけど、俺らは東雲いつきのセフレみたいなものだった。 篠田からこうして暴力を受けるのは当たり前さ。」 東雲の……!? すぐに思い浮かんだのは、京哉に頼まれた、東雲いつきの過去。 たしか、沢山そういうのが居たことは、俺が調べたから京哉も把握しているはず。 …………有り得なくはない。 誰だって、自分の恋人の周りの五月蝿い蠅には、嫌悪する。 だが、動機がそれでも、なぜこんなにだだ漏れの状態で犯行をした? 京哉なら、もっと、自分だとわからないようにするはずだ。 こいつらは完全に京哉がやったと信じているが(まぁ、立場上当たり前の現象だが。)、 きっとこれは……… 「完っ全に、仕組まれてるねぇ、」 秋はそういうと、彼らに近づいた。 (──何をする気だ?) 「京ちゃんへの罪悪感は、わからなくもないけどねぇ、 こんな風にわかりやすく、京ちゃんは君たちを襲ったりしない。 君たちが手を出していた男が本命として好きになった男は、 こんなこと、人にやらせるようなことはしないよ、 よぉく、覚えとき。」
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