062 絆?

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物音一つしない。 が、取り敢えず思い切って玄関のドアを一気に開ける。 (─────……‥) 部屋の間取りも普段使っている上の階と同じらしい。 物こそないが、そこには小さな短い廊下と、その先には扉がある。 どれも見慣れた間取りだ。 紗矢は土足なのも構わず上がり、真っ先にリビングに続く扉を一気に開けた。 ───ガチャッ 「──‥……篠田!!!!」 思わず軽く叫んでしまった。 そこには椅子に手足を括り付けられて下を向いた銀髪が居た。 紗矢の声に気づいたのか、驚いて顔をあげる京哉。 「……三谷!」 その目はどこか濡れた目をしていて、放つ色香に紗矢の足は一瞬止まる。 (なんつー顔してんだ、こいつ。) きっと逃げようとして色々無理をしたのだろう。 京哉の額は少し汗ばんでいて、綺麗な銀髪は肌についている。 さらに、どこか欲情的なこの目がじっと、解放への期待を滲ませながら、紗矢を見ている。 開いた薄い唇は、自分の名前を今しがた呼んだ。 「……い、今、…解いてやるから」 「さんきゅ、」 我にかえり、慌てて京哉のもとへ行く。 縄は確かにとても頑丈だったが、なんとか外からなら外せそうだ。 「…流石、三谷。 秋も動いてるんだろ?」 右手、左手、と順に外していくと、京哉がそう話しかけてくる。 「あぁ、だけど、 ……わからないことだらけだ。 俺たちはお前を信じてとにかく、変な情報は止めた」 「……変な情報?」 「お前が指示したわけじゃないだろ? 複数の生徒に暴行を加えるなんて。 今まであったのが、あの友田の仕業ってことは、前からマークしてたから知ってる。 けど、今日新たに四人出た。 しかも、……そのー、東雲の元セフレらしい。」 丁度そこまで話すと、縄が全て外れた。 京哉は自由になった手足を、振ったりして解す。 ふと見れば、鮮やかな赤い痕がついてしまっている。
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