062 絆?

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~いつき視点~ 京哉がいない。 もう体育祭も終わりなのに。 「次は、体育委員長の言葉。」 司会のその声に、仕方なく壇上に上がり、適当なことばを喋る。 上から見れば、全校生徒が見渡せるのに、そこには京哉の銀髪がない。 (───捜さなきゃ。) 体育祭を仕切る委員会の長なだけあって、なかなか会が終わるまでは動けずにいたが。 もう、後はほかの奴に任せても大丈夫だ。 いつきは壇上から降りると、そのままグラウンドの外へと足を運んだ。 (何かあったのか……?) 不安な気持ちがいつきを支配する。 怪我?トラブル? 生徒会の奴らに聞いても、わからないとしか言わないし、 広報部が責任持って捜すって言ったって、見つかってないじゃないか。 焦る気持ちから、いつの間にか全速力で走っていた。 「東雲!」 すると、校舎の昇降口の方から、俺の名を呼ぶ声。 そこには制服姿の青っぽい黒髪の男がいた。 タイの色からして同い年。 よく見れば、どこかで見たことがあるような顔だ。 「誰?」 近づいてくるそいつに向けたその言葉は、無意識に冷たくなった。 もう目の前に来た彼。 うかがうように、また俺の名を繰り返し聞いてくる。 「東雲だよな?」 「そうだけど?お前は?」 「あ、俺は友田 礼。」 「……で?何の用?」 京哉を一刻も早く捜したいという気持ちから、言葉がどうしても刺々しくなってしまう。 「篠田と仲良いってか…付き合ってるんだろ?」 「あぁ、そうだけど?」 いきなり出てきた京哉の名前に、いつきは驚いた。 「──俺、すごいもん見ちゃってさ…‥篠田が弱そうなちっさいのをぼっこぼこにさせてたんだよ、体育祭ほっぽらかして。 やばいなぁと思ったんだけど、俺、強くないし。 篠田とも、知り合いでもなんでもないから、隠れることしかできなくて…」 「───京哉、が?」 あまりに予測していなかった内容に、いつきの頭がついていかない。
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