062 絆?

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「そん時俺、気づいちゃったんだよ…‥そのー、 ──…知り合いが居たから判ったんだけど……やられてたの、お前のセフレの奴らだった。」 「──え?」 「だから!、お前のセフレの奴らが篠田にぼっこぼこ…‥ 基本、人の恋愛ごとに口出しすることないんだけど、 流石に、これは東雲に言わないと気が済まない。」 そう言うと、未だ頭の整理がつかず、唖然としているいつきの耳元で、礼は呟いた。 「他人を巻き込むんだったら、とっとと別れてくれ。 過去に好き放題やってた奴が、1人を大切にするなんて、できねぇんだよ。 例え、お前がそのつもりでも、相手はそうは思ってないらしいしな、」 そう言っていつきの肩を二回叩くと、礼は体をスッと離した。 「じゃっ、俺が言いたいのはそれだけだから。」 そう言うと、礼は校舎の方に向かって歩き出した。 一方のいつきは、今初めて話した奴に京とのことを言われた怒りよりも、──最後の言葉が頭の中を駆け巡っていた。 『例え、お前がそのつもりでも、相手はそうは思ってないらしいしな、』 「京、……‥」 小さないつきの呟きは、誰に届くこともなく、空気に吸い込まれた。 京は、何食わぬ顔をしておきながら、腹の底では過去、俺と関係のあった奴らを、そんなにも憎んでいたのか。 ──いや、違う。 京が憎んでいるのは、『俺』だ。 今の俺じゃない。 好き放題やっていた過去の『俺』のことだ。 『俺』に対する怒りを、アイツらにぶつけるしかなかったんだ……‥ その場を動けず、ぐるぐると思考の闇に捕らわれそうになった、その時─── 「ねぇっ!!」 肩に手を置かれる感覚と共に掛けられた言葉。 一瞬、何のことかとわからず、慌てて横を向けば、そこには走ってきた様子の、一条の姿があった。 「い、一条?」 「ねぇ、  ‥…友田に会っちゃったぁ?」 間の抜けたしゃべり方だが、目が笑ってない。 『彼氏なんだから京ちゃんにしっかり言っといてねぇー』と、いつきに声掛けた時とは、全く違う顔つき。 「あ、あぁ…」 そう言うと、苦い顔をする秋。 「友田は、なんて言ってた?」 珍しく伸びない語尾。 普段おちゃらけているのが、真面目な口調だと、正直恐い。
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