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「京は、俺の、
恋人に決まってるだろっ!」
「ならどーして、…」
「だって、そりゃあ...」
どこか、京哉のことになるとヘタレないつきに、秋はため息をついた。
「はぁ~…」
京哉を紗矢と共に捜そうとした時、『もしかすると、友田は東雲と接触するんじゃないだろうか。』と、咄嗟に思いついて向かえば、案の定、この結果。
簡単に想像できた展開。
友田は、どうやら、策をたてるのが下手らしい。
こんなにわかりやすい行動をとってくれた。
………と、正直秋は思った。
ただ、この、京哉に関することには何でも信用してしまう京哉バカないつきは、まんまと自己嫌悪に走っていたわけだが…。
まぁ、秋が居たから、特に何か起こすこともなく済んで、良かったというものだ。
「で、友田はどこに行ったぁ?」
(あ、いつもの口調だ)
いつきは内心そう思いながら、校舎の方を指した。
まぁ、どこか強めな口調なことに変わりはないが。
「たしか、校舎の方に。」
「校舎かぁ…早く行こぉっ、!」
そう言うや否や、走り出す秋。
いつきも慌てて追いかけるように、走っていった。
「なぁっ、…」
「何ぃ?」
「京は、無事、なんだろうな?」
「だと思うよぉ?」
「はっ!?
……だと思うって、なんだよ!」
「紗矢が頑張って捜してるしぃ、どーせ、友田のことだから、京ちゃんは、わかりやすいとこに居るはずっ!
どうやら、策を練るのが、ヘタクソみたいだしぃっ、」
走りながらそこまで会話すると、ちょうど昇降口につく。
「京はこっちに来るのか?」
何よりも京が心配ないつきは、尚も、秋にそう尋ねた。
「さぁ。」
「え?」
「特に紗矢と約束もしなかったしぃ……」
「じゃあ、俺は、京を捜しに行く」
「はぁ!?」
「俺にとっては、それが最重要課題だから、」
「はぁ~~....」
明らかに、怠そうにため息を吐く秋に、いつきはまた戸惑った。
(俺、なんか変なこと言ったか?)
「紗矢が京ちゃん捜しに行ってるって言ったでしょっ?」
「でも、俺は俺で…」
「いーのいーの!
捜したい気持ちはわからなくもないけどぉっ、ちゃんと紗矢は見つけてる筈だから!
それよりも東雲は、………
───悔しくないの?」
はぁ?と言いそうになったが、思わず息を呑むいつき。
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