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そうだ。
あんなちょっとの囁きと、偽の情報で、俺と京が別れるだなんて思われてたなら、それは俺たちに対しての侮辱のようなもの。
何が原因で事態が起こっているのか、正直わからないが、
ガツンと友田 礼には言ってやらなきゃならない。
『俺たちを嘗めるな』と。
(まぁ、実際……秋が居なかったら1人で、ブルーになっていただろうが。)
それに、ワケも知りたい。
が、しかし、…
京がやったとかやってないとか、それ以前の問題として、
確かに自分の中に、未だ、京への罪悪感に似た気持ちが存在することを、再確認してしまった。
なんだか、複雑な気持ちである。
「いい─?京ちゃんについては、紗矢を信じて欲しい。
今は、何よりも友田っ!
友田をとっつかまえて、こうなったワケを聞いてやるんだからっ!」
どうやら自分同様、事態を把握できていないらしい秋は、苛々していた。
てっきり、ワケを知っているのかと思って、色々問いただそうとしたいつきは、開き掛けた口を閉じた。
秋は、どんどん校舎へと歩みを進める。
いつきも、引きずられるようにして校舎の中へと足を運んだ。
「なぁ、」
「何ぃ?」
「何処にいるか、見当ついてるのか?」
「いやっ、"勘"で動いてるだけだけどぉ?」
(……勘??)
明らかに失望した顔をしたいつきに、秋はキッと睨みをきかせた。
「その"勘"のお陰で、変な勘違い起こさずに済んだのは、どこの誰だったっけぇ?!え?」
「──ごめんごめんっ。」
───ガタンッ!
話が一段落すると、丁度、秋は物音を耳にした。
いつきは気づかないようだが、確かに廊下に小さく響いた物音。
秋は、すぐ近くにあった扉を開く。
すると、────
「……見つけた。」
扉には『職員室』の文字。
教師の机が並ぶ中、捜していた友田の姿は、その一番奥のデスクにあった。
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