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~いつき視点~
「………見つけた。」
職員室のドアを開けてそう言ったのは、隣にいた一条。
あまりに簡単に見つかるから、何だか拍子抜けした。
友田はちょうど、職員室の奥にいて、何か書類の山らしきところで、探していたらしく、一条のたてた扉の音に驚いて、こっちを見ている。
「なんだ、……一条か。」
俺の姿は見えなかったらしい。
そう言って、目の前の書類の山を、また、一枚一枚ペラペラと捲って、確認していく友田。
どこか、その表情は真剣で、
きっと、今の友田にとって、俺らが来たことなんか、その確認作業に比べればどうでもいいことなのだろう。
必死に、ページをめくる。
──が、もちろん、一条はそれを許すはずがなく……
「なにその態度っ!!!!」
ムキーっと、そう言うと、職員室を突っ切って友田のもとに向かう一条。
「おいっ、」
慌てて追いかけようと職員室に入れば、それとほぼ同時にいきなり立ち止まる一条。
「あ、……」
「どーしたんだ?」
慌てるようにズボンのポケットに手を突っ込む一条。
でてきたのは、バイブしている携帯。
「紗矢からだっ!」
そう言うと、急いで携帯に出る。
三谷からの連絡は内心嬉しかったが、友田が気になってふと見れば、まだ熱心にページをめくっていた。
「もしもし?」
『もしもし、秋?』
「京ちゃんは?」
『あぁ、無事だ。』
「よかった、…東雲、京ちゃん無事だってよぉ!」
笑顔でこっちにそう言うが、それと同時に、向こうの友田もその言葉に反応した。
眉間に皺を寄せて、舌打ちしたのが見える。
ぶつぶつと言っているが、何を言っているのかわからない。
『え、東雲といるのか?』
「うん、」
『なんでっ……まぁいいや。とにかく、俺たち今、寮の玄関んとこにいるんだけど、…
友田の居場所知らね?』
「知ってるもなにも、今目の前にいるよ」
『えっ?』
「これから、色々と聞いてやるとこだから。」
『場所は?』
「職員室。」
『今から行く』─────
どうやら、今から二人してここに来るらしいな...
京が気になるのは確かだが、なにより今の会話で思い出した。
一条の言うには、京はアイツに閉じ込められたとかだったな…
そんなの、許せない。
──何より、説明が欲しい。
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