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それは一条も同じのようだが、極めて冷静に口を開く。
「京ちゃんは、一体、
……何をしたの?」
それを言えば、途端に唇を震わせて黙る友田。
手元に持っていた、さっきの書類を無言でビリビリと破りだし、ゴミ箱に勢いよく捨てた。
「ちょ、……それ…、、」
───ガラガラッ
「秋っ!!」
「──紗矢??」
ちょうどのタイミングというか、なんというか……
勢いよく開いた扉から、息を切らしている三谷と、少し遅れて京が入ってきた。
「京っっ!!!!!!」
無事そうだがどこか疲れた顔つきの京。
俺は京のもとに走った。
「大丈夫か?」
「あ、あぁ……それより、──」
「お前っ、
足怪我してるじゃないかっ!」
「大したことない、」
「誰にっ、」
「……いつき、今はとにかく友田に話がある。
だから、ちょっと待って──」
真剣な顔でそう言われてしまうと、これ以上何もできない。
静かに頷けば、京は友田の方に歩きだした。
一条も三谷も、黙ったまま京を見ている。
「友田、」
京がそう言うと、友田はどこか諦めた顔で、京を見る。
京や俺が無駄に大きいだけなんだが、友田は京より頭半分小さい分、少し見上げる格好になった。
(一条と三谷も友田とさほど変わらない身長だ)
「有能な仲間が沢山いるんだな、お前は。
簡単に出てきやがって……」
ため息と共にそう言う友田。
「あの事件の書類を処分しにきたのか?」
静かに問う京。
一条の話によれば、京は友田に閉じ込められたりと色々なことをされた筈なのに、そこに、怒りのようなものは見えない。
友田もそこが若干引っかかるようで片眉をあげて、怪訝な顔をした。
「…そうだけど?
お前のせいで、嘘の記述が俺のデータに刻まれたからね。
そんなもの、放って置くわけないでしょ、」
「それは、
…嘘の記述なんかじゃない。」
「よくもぬけぬけと。」
「本当だよ、兼田先輩が俺に話してくれた。」
『兼田先輩』のフレーズに、反応する友田。
京は友田の右肩に手を置いた。
「すべては、
兼田先輩のしたこと。」
一言京がそう言うと、友田は弱々しく首を振った。
「違う・・・違う・・、」
(一体っ、?───)
「一体、昔何があったのさぁっ」
俺の心の声を代弁するかのようにそう聞いたのは一条。
「京ちゃんが悪いとか、何かやったとか……
兼田先輩が本当はやったとか、……何を、したわけ?
友田は、『何』をされたのっ?」
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