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「これが、俺の持っている
『あの日』の情報。
俺は別にお前を慰めようとか思ってきたわけじゃないから、もう持ち場に戻るけど、……
俺を散々巻き込んだんだ。
金輪際、俺に迷惑を掛けないよう、
先輩とそれなりの和解をするか、根拠のない俺への八つ当たりをもうしないと誓うかして、少しは今日のお前の行動を未来に繋げろ、
──……いいな?」
事実に驚きを隠せず、固まる礼に向かってそう言うと、俺は立ち上がった。
最初に視界に入ったいつき。
どうやら、俺が友田に仕返しみたいなことをすると読んでいたらしく、「え?」という表情をつくり、何だか間抜けた顔で俺を見る。
確かに、俺は全くの被害者だ。
しかも、広報部部長として、そして生徒会会長補佐として、仕事が十分に出来なくなったという、大きな被害を被った。
けど。──
そのまま、秋と紗矢にも目配せして職員室を後にする。
いつきも、ぴったり俺の横につくようにして歩いた。
もう、これに至るまでの経緯を聞いてしまったからか、秋やいつきに、そこまでの礼に対する非難の気持ちはないだろう。
が、情報だけ与え、そのまますぐ立ち去るなんていう、あまりにもあっさりとした俺の対応に、些か疑問符というか、戸惑いがある様だ。
「そんなに不満?」
心配そうな顔して横を歩くいつきに、正面を向いたままそう聞けば、いつきは苦笑いした。
「京を傷つけたとか、考えたらムカムカするけど……
俺は、京が優しいのを知ってるからね。
それに、──」
「『昔の俺そっくり』だろ?」
「──あ、あぁ。うん。」
(だから、なんだか放っておけないんだ。俺は。)
別に、俺の時みたいな恋愛感情ではないんだろうけどね。
必死にひとりを追う姿。
……流石に今回みたいに、拘束されたり殴られたりするのは御免だし、俺はしなかったけど。
変わって、反対側の隣に居た秋と紗矢は、何だか討論中。
秋が友田について、紗矢に詳しく問いただしている。
どうやら、さっさとあの場を切り上げてきて正解だったようだ。
(またあそこで、質問されまくったら、友田があまりにも可哀想だ。)
秋の気持ちとしては、「情報を得たいだけなんだ。」っていうのが、更に厄介。
まぁ、だからこそ、有能なのだが...
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