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「秋、体育祭はどうなってるんだ?」
「あ、……生徒会長にぃ、無事に終われるよう、しっかり頼んどいたよぉ?」
「俺が抜けた時には、もう、リレーも終わって、後は閉会式だけだったし……、今頃片付け──とかか?」
秋に続いて、そう話すいつき。
はぁ、……一悶着あったが、なんとか無事に終わりそうか。
ほんとにとんだ道草だ。
どうにか自分たちで解決しといてほしいが、暫くはまた、友田をマークしとかないとな。
いや、それプラス兼田先輩も。
そう思っているうちに、ようやくグラウンドに着く。
どうやら、閉会式も終わったようで、それぞれがバラバラに、片付けを始めている。
グラウンドの入り口付近に立ち、状況を把握しようとしていると、まあまあ距離のあるはずの生徒会テントから、会長さんが駆けだしてくるが見えた。
追い掛けるように慌てて走る達也の姿も見える。
「はぁ、はぁっ、──篠田先輩!!」
息を切らしたまま、軽く目を潤ませて俺と目を合わせる会長さん。
「無事だったんですねっ、……よ、よかった…‥」
会長さんは両手を膝について、息を整えると、俺が口を開くのに被せるようにして、そう喋り出した。
と、同時に達也も丁度、会長の後ろに立つ。
「ほんと、色々とすまなかった……」
そう言って頭を下げれば、達也が俺の後頭部に手を置き、軽く押さえてくる。
「ホントだよ、全くっ。
クラス一の駿足の京哉がいなかったせいで、俺は2周走ったし、結果は3位だ。」
「うっ、………」
やっぱり達也怒ってる……
「おい、しょうがないだろう。
京は寧ろ被害者だ、その手をどけろっ、保坂達也、」
そう言って、いつきが達也の手を払った。
軽くなった後頭部。
顔を上げてみれば、いつきと達也がお互い目を合わせたまま静止していた。
「被害者?」
「後は、こいつらに聞けよ、
京は怪我してんだ。
俺と先に帰らせてもらう。」
こいつら、と言われた秋と紗矢は顔を歪める。
俺は俺で、急に帰ると言われてすぐさま反論した。
「……はぁ?俺は、さっきまで居なかった分、ちゃんと片付けを「京、」
「──?」
「十分、京は働いてただろ、『広報部部長』として。」
「───っ、」
急に真面目な顔してそう言われると、心拍数が急激に上がるのが自分でもわかる。
あぁ、きっと今の俺、柄にもなく伸びた面してるんだろうな…‥
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