063 真実

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「だろ?一条、」 いつきが秋に問いかける。 「……確かに、京ちゃんは休んだ方がいいしぃ、今日のことは、僕と紗矢で説明しとくよぉ。 正直まだ、吃驚してるんだけどねぇ、 京ちゃん、あっさり言いたいことだけ言って、出ちゃうしぃ」 やっぱり問い詰める気満々だったようで、不満そうにそう言う秋。 「女じゃあるまいし、だらだら慰めようなんて思うわけないだろ、 ただの『一事件』だ。 自分が巻き込まれたからって、うだうだと友田に構ってられない」 勿論すぐさま反論してやった。 「まっとにかく、俺と秋で話しとくから、お二人さんは部屋でラブラブしとけっ、」 「勿論。」 紗矢の発言に調子乗って、いつきが俺を包むように肩をまわしてくる。 予想してなかった力に、俺の体はよろめき、いつきの胸板に顔を押し付けられる格好になった。 「───っ、!」 途端、頭に走る激痛。 そういえば、最初に友田に頭思いっきり殴られたんだった。 『気絶するくらいの強さ』で。 痛みに耐えながら、両手でいつきにしがみつくように、服を掴めば、 なんだか俺がいつきに甘えているような格好になり、達也がワザとらしく口笛を吹いた。 一方、いつきは俺の声が聞こえたらしく、慌てたように俺を引き剥がす。 「どうしたっ?」 「いや、ちょっと、殴られたところに当たったみたい…」 顔を上げれば、俺の顔を見て息を呑むいつき。 顔に痣はないはず…と、不思議に思っていると、今度は優しく抱き締められた。 「やばい、目潤ませて、        …色っぽい。」 「………はあ?」 思わず声をあげてしまった。 みんな、やれやれといった感じに、そっぽを向く。 「ただでさえ暑いのにぃ、余計暑くしないでよ、」 「ほんとそれ、」 秋と紗矢はそう言って、スタスタと生徒会テントの方目指して歩き始める。 いつきを剥がして、後ろを向けば、達也と会長さんも二人の後を追いかけようとしていた。 「達也、ほんと、……色々ごめん!」 リレーも仕事も。 全部、頼む形になってしまう。 達也は立ち止まり、笑顔でそれに答えた。 「なんか大変だったろうし、仕方ない。 珍しい京哉も見れたことだし、チャラにしてやるよ。」 途端に、柄にもなく真っ赤になる俺を見て、大笑いする達也。 そのまま走って会長さんを追いかけていってしまった。 (う……なんか、複雑なんだけど)
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