064 暖熱の温度

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~京哉視点~ 「ん、…ん……‥・──」 目を開けると、暗闇が広がっている。 感触からして、どうやらベッドに寝かされているようだ。 暗闇に目が馴れれば、見えてくるその天井は、確かに自分の寝室。 暗いということは、電気を消されているのだろう。 ふと体を起こしてみれば、部屋とリビングにあたる部屋を繋ぐ扉の隙間から、光が洩れているのがわかる。 いつきはそっちに居るようだ。 (確か、風呂入って……──) 「情けねー…‥」 この年でのぼせるとか。 え、ってことは、いつきが俺を運んでくれたのか! よくこんなおっきい身体運べたなー そんなことを思いながら、ゆっくりと起き上がり部屋に向かえば、頭が若干チカチカした。 扉を開けて、部屋を見れば、机には二人分のパスタと、グラス。 いつきが用意したのだろう。 が、本人の姿がない。 「いつきー?」 そう言いながらキッチンの方に行けば、そのすぐ真横の扉が開いて、いつきが湯気と共に顔出した。 キッチンのすぐ横が、浴室と洗面所になっているのだ。 「「うわっ、!」」 いきなりのことで、驚いて下がると、いつきも驚いたのは同じだったようで、二人して間抜けな顔をしていた。 「な、なんだ、……風呂入ってたのか。」 「あーびっくりした、 侵入者かと思ったじゃん。」 そう言って驚いた顔をしながら、京哉の頭を片手で撫でるようにかき乱すと、キッチンの冷蔵庫を開けてどこから持ってきたのか、酒を取り出すいつき。 あぁ、ちなみにいつきの格好は、下ズボンを穿いているだけの、上半身裸。 頭から流れ落ちる水滴は、そのまま晒された肌に、流れている。 いつ見ても、いい男だ。         まったく。 「なっ、それ、」 「あ、これ? 今日ぐらいいいだろ? お疲れ様ってことで。」 「いつの間に買ったんだよ、」 「そりゃ、さっき京が風呂でのぼせて………って、そうだ! 京、大丈夫か?? マジ焦ったんだから! あんまり出るの遅いから見に行ってみれば、真っ赤になって動かないしっ!」 「いや、見ての通り大丈夫大丈夫。サンキュー。 それより、よく俺運べたな、 俺、いつきと背丈あんま変わらないのに…」 そう言いながらいつきの手にあるビール缶を取り、蓋を開ける。 久しぶりのビールを口にしながら、さっきのパスタの元へと行けば、追うようにして、いつきがやってきた。
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