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~京哉視点~
「ん、…ん……‥・──」
目を開けると、暗闇が広がっている。
感触からして、どうやらベッドに寝かされているようだ。
暗闇に目が馴れれば、見えてくるその天井は、確かに自分の寝室。
暗いということは、電気を消されているのだろう。
ふと体を起こしてみれば、部屋とリビングにあたる部屋を繋ぐ扉の隙間から、光が洩れているのがわかる。
いつきはそっちに居るようだ。
(確か、風呂入って……──)
「情けねー…‥」
この年でのぼせるとか。
え、ってことは、いつきが俺を運んでくれたのか!
よくこんなおっきい身体運べたなー
そんなことを思いながら、ゆっくりと起き上がり部屋に向かえば、頭が若干チカチカした。
扉を開けて、部屋を見れば、机には二人分のパスタと、グラス。
いつきが用意したのだろう。
が、本人の姿がない。
「いつきー?」
そう言いながらキッチンの方に行けば、そのすぐ真横の扉が開いて、いつきが湯気と共に顔出した。
キッチンのすぐ横が、浴室と洗面所になっているのだ。
「「うわっ、!」」
いきなりのことで、驚いて下がると、いつきも驚いたのは同じだったようで、二人して間抜けな顔をしていた。
「な、なんだ、……風呂入ってたのか。」
「あーびっくりした、
侵入者かと思ったじゃん。」
そう言って驚いた顔をしながら、京哉の頭を片手で撫でるようにかき乱すと、キッチンの冷蔵庫を開けてどこから持ってきたのか、酒を取り出すいつき。
あぁ、ちなみにいつきの格好は、下ズボンを穿いているだけの、上半身裸。
頭から流れ落ちる水滴は、そのまま晒された肌に、流れている。
いつ見ても、いい男だ。
まったく。
「なっ、それ、」
「あ、これ?
今日ぐらいいいだろ?
お疲れ様ってことで。」
「いつの間に買ったんだよ、」
「そりゃ、さっき京が風呂でのぼせて………って、そうだ!
京、大丈夫か??
マジ焦ったんだから!
あんまり出るの遅いから見に行ってみれば、真っ赤になって動かないしっ!」
「いや、見ての通り大丈夫大丈夫。サンキュー。
それより、よく俺運べたな、
俺、いつきと背丈あんま変わらないのに…」
そう言いながらいつきの手にあるビール缶を取り、蓋を開ける。
久しぶりのビールを口にしながら、さっきのパスタの元へと行けば、追うようにして、いつきがやってきた。
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