064 暖熱の温度

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言い方がおかしいかもしれないが、『ついにこの時が来た』。 後ろで受けるなんて、未体験。 俺が今まで何だかんだで腹をくくれなかった、受け側の試練(?) 「きょーう、力抜いて、」 軽く緊張が走ったのがわかるのだろう。 いつきは、俺の耳元で甘い声でそう囁いた。 「はぁ、っふ、ァ……」 その耳にかかる吐息に、思わず腑抜けな声が出てしまった。 (エロ過ぎる………) 意識が一瞬どこかに飛んだ。 耳が弱いなんて、自分でも知らなかったが、きっといつきの声だからだろう。 そんなことを漠然と考えていると、いつきは耳を重点的に攻めてきた。 ピチャピチャとダイレクトに響く、リアルな音に、全身が感じているのがわかる。 「意外と、ベタだね……京哉も」 「う、…るさぃ、っ、ア」 くくっ、と笑ってから、耳を攻めつつ双丘を割るように手の動きを進めるいつき。 思った程違和感はなくて、痛くもない。 ただ、狭い隙間を押し広げるようにその指を動かし始めると、そんな余裕もなくなった。 「痛いっ、ぁあ、…ん、くっ、」 ただ、いつきの絶妙な快楽と苦痛の与え方によって、幾らか楽に感じる。 痛いんだか、気持ちいいんだか、訳が分からなくなって…… 頭がオカシくなりそうだ。 「京哉感じ過ぎ……」 「はぁっ、あっ、、」 「案外と、素質、あったんじゃない?」 (っ、そうかもしれない) そう思わずにはいられないほど、全身でいつきを感じきっていた。 指が増えていき、次第にバラバラと複雑な動きをするようになる。 もうその頃には痛みは殆どなくて、好き勝手に蠢く指が、不意に強烈な快感を引き出すポイントを掠めた。 「っぁああ!…」 たまらず声をあげれば、いつきはすぐに、俺の唇に濃厚なキスをしてくる。 「はぁっ、ん、…む」 キスを深く、深くしていくと同時に、その見つけた前立腺を執拗に攻め出すいつき。 たまらず俺は、いつきの首に腕を回し、掌はその背中をかきむしった。
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