064 暖熱の温度

9/12
3555人が本棚に入れています
本棚に追加
/235ページ
言葉は要らない。 「……あっ、‥」 勢いよく京哉を押し倒すと、上に跨り、深くキスをする。 それに応える京哉は、右手でいつきの黒髪をかきむしるように押さえつけ、左手は快感に耐えるように、シーツを掴んだ。 ゆっくり、 ゆっくり、と焦らすようにまた指を入れ始めるいつきに、京哉は思わず、いつきの名を呼ぶ。 「もっ、いいから、っ、早く、」 「京が言ったんだろ? 『優しくしろ』ってさ、」 耳元でワザと低い声でそう言うと、再びゆっくりと、それでいてしっかりと高みへ追い詰めていくいつき。 「お願い、っだから、早く、」 「早く?」 「入れろよっ、早く、そこにっ」 余りに追い詰められたせいで、懇願するように叫んでしまった。 不思議と羞恥心はない。 いや、というか、…もう理性の欠片もなかったと言うべきか。 にやり、と笑ったいつきは、その言葉を待っていたようで、「了解っ、」と言うと、その今にもイきそうな雄を蕾の入り口にあてた。 「っ、──」 出来るだけ力を抜くため、息を吐く。 京哉の両手は、サイドのシーツをギュッと握りしめていた。 いつきはそれを見て、慎重に押し進めていく。 (可愛い……) 流石に少し痛いのだろう。 顔を歪める京哉を見て、酷く興奮するいつきがいた。 喘ぐ京哉も、 顔を歪める京哉も、 たまらなく愛しい。 ──京哉は京哉で、その圧迫感に耐えるのがやっとだった。 (くっ──、やっぱ、デカい…) さっき、いつきのをくわえて、『うげ、こんなにデカい。』と思ったのが正直なところ。 いつきを一度イかせておこう、という魂胆で、ワザと誘うような言葉をかけたつもりだったが……。 (──逆、効果?) じわじわとゆっくり中に押し進んでくる、圧倒的な質量と熱をもったそれは、京哉の性感帯を掠めていく。 「ん、っあ……」 「京、大丈夫?」 「…ん、…全部、?」 「あぁ、全部入ったよ、 ほら、見てよ、 美味しそうに俺をくわえ込んでる。」 そう言って、ゆるゆると動き始めるいつき。 最初は若干の痛みだけだったその振動が、京哉に少しずつ快感を与え始める。
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!