064 暖熱の温度

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「いつきっ、」 「ん?」 いつきの頭を引き寄せて、キスをする。 何度やっても、足りない。 「ねぇ、第二ラウンドはまだ?」 健全な高校男児。 こんなんだけじゃ、お互い、己の性欲は満たされない。 「………腰、大丈夫?」 それでも、自分の身体を案じてくれるいつきに、思わず笑みが零れる。 「俺を誰だと思ってんの、 今までの小動物と一緒にしないでよ、」 「小動物?」 そう聞いてから、意味を理解したのか笑い出すいつき。 「しょ、っ小動物。確かに。」 一向に笑うことを止めようとしないんで、ムードもへったくれもない。 京哉はいつきのモノを掴んだ。 「っ、 ──いきなりっ?」 「いつまでも笑ってると、ココ、俺が噛み千切るから気をつけろ?」 「ご、ごめんごめん!!!!」 慌てて必死に謝る様子は、なかなか面白いもので。 自然と自分も笑顔になる。 訪れた数秒の沈黙によって、引き戻された数分前までの雰囲気。 交わした視線は、深く絡み合った。 唇が重なるのも、 お互いの温度が上がるのも、自然な流れ。 「んっ、──…‥」 肌を撫で回して、全身で互いを感じる。 こうして二人の時間は過ぎていくのだろう。 これから先、いつまでも。 長い夜は、 始まったばかりなのだ。 長い幸せは、訪れたばかり。 京哉は、その事実にふと笑みを浮かべた。
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