064 暖熱の温度

12/12
3555人が本棚に入れています
本棚に追加
/235ページ
──次の日。 京哉は、髪を弄られている感覚に、目を覚ました。 目を開けると、伸びた顔をして片肘をついた格好のいつきが視界いっぱいに入る。 「おはよ」 「ん、おはよ…」 自分の声が、掠れていることに気づく。 京哉は、たまらずいつきの胸に頭を寄せた。 「痛い?」 「え、?」 「喉とか、腰とか……?」 「あ、あぁ……痛いというか、‥怠いというか、、」 寝ぼけた頭のまま、思った通りに頭の上にあるいつきを見上げながら言えば、顔を赤くするいつき。 「なに、照れてるの?」 「いや、京の声、掠れててエロいなぁって思って。」 「こんなに喘がせたのは誰?」 「うん、俺。」 そう言って、お互いに笑う。 京哉は、幸せを噛み締めた。 それはいつきも同じだろう。 急に、抱きつきたくなって、京哉は下半身を動かさないように注意しながら、腕をいつきの身体にまわした。 (くっ、──京は甘えるタイプか! 普段はそんなことないのに!! ヤバい、……萌える。) 普段とのギャップに脳内で萌えるいつきに対し、京哉はその居心地の良さに目を細めた。 大きく息を吸い込んでから、ふと目の前の肌を一舐めしてみる。 勿論、いつきはいきなりの攻撃(?)に、びっくりして京哉を見た。 「京?」 「……」 名前を呼んでも、じっといつきの目を見るだけの京哉。 京哉が 何を言いたいのかがわかると、いつきは思わず口元が緩んだ。 「……朝から?」 「いいだろ?一発くらい」 昨日はあのまま何度か互いに絶頂を迎えて、そのあとは素直に風呂で洗い流して睡眠。 それなりにいつき的にはヤりまくったつもりだったのだが……。 (タチ同士は、やっぱヤバいな) にしても、 初めてでこの積極性は凄い。 ──こないだまで受けを恐がってばかりだったくせに。 そう思ったいつきだったが、寧ろこの現状は嬉しい限りで。 そのまま京哉に覆い被さった。
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!