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こうやって、いつきはどんどん俺の中に占める割合を増やしていく。
これがこの先、いつまで続いていくのかはわからない。
もしかしたら、また、あの時のように、いつきと俺はすれ違うのかもしれない。
けど、…‥そんな不安は今の自分にとって、あまりに現実味のナイ話で。
今、肌で感じるこの体温を、
俺は手放したくない。
「──っ、はぁっ、い、つき…」
「っ、なに?」
『愛してる』とでも口にしようとして、京哉は半開きで喘いでばかりいた自身の口に力を入れた。
が、いつきは聞き返すと同時に、その最奥を突き上げ、にやりと笑った。
「っぁぁああああ───!」
途端に果てた京哉を見て、いつきも京哉の中を自身から流れ出る液体で満たす。
互いに息を切らしながら見つめ合うと、互いのその妖艶さに思わず頬が赤く染まった。
「……何て奴だ、」
「なにが?」
「人が折角っ、」
「『愛してる』」
「……」
「『愛してる』って言いながらイって欲しかったからやったんだけどなぁ……」
「ばーか、そんな漫画みたいなイき方、出来るわけ──」
「じゃ、次はよろしく」
「え?──っあ、ちょ、、っ、ぁあっ、」
何度も、何度も、疲れ果てるまで求め合う。
そんなセックスが出来るのは、過去にも今にも、いつきだけ。
きっと未来も、いつきだけ。
いつきだけが、俺の恋人。
達也、
俺の中でお前はいつまでも一番だと思ってた。
だけど、大事な幼なじみがいつの間にか、唯一の恋人になってた。
沢山、迷惑かけてごめん。
だけど、達也が俺を切り捨てたことで、大事な絆を取り戻せた。
そして絆は更に昇華して、お前以上になったんだ。
ちょっと前まで信じられなかったことだけど、本当に、達也以上の人間が現れたんだ。
『東雲 いつき』。
──俺の恋人。
彼が俺の中で、最高のパートナー。
【END】
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