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「あぁ、そうさ…」
暫くの沈黙の後、いつきが呟くように言う。
「……え?」
思わず聞き返せば、いつきは更に抱きしめる力を強める。
「傷ついたね、京の言葉に。
それは確かに間違ってない。
けどね、傷つく以上に悔しかった!
京の心が、接点もなにもなかった保坂なんていう奴に獲られたことが。
悔しくて堪らなかったよ!
俺はずっと京と一緒に居て、京のことをずっと想ってたのに!
だから、京が保坂を好きって知って、俺は笑顔で応援することなんかできるはずがなかった!
あの時の俺は、感情に任せてひどいことを言った!
本当に傷ついたのは京だろう?
けど、その結果京は保坂に付くようになった。
俺はてっきりうまくいったのかと思ってたよ。
なのに、一年ぶりに見た京の顔の覇気の無さ!
無理してんじゃねぇよ、京哉」
「えっ、それじゃあ…もしかして…」
「過去の弁解。
それと、告白しにきた」
顔が赤くなって動けなくなる。
いつきが俺を、好き?
どんな冗談だ?
冗談にならねーよ…
「本当は一生言わないつもりだった……
けど、今の京の顔見たら居てもたってもいられない
無理して笑ったり、してんじゃねーよ」
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