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~いつき視点~
「けど、俺はお前の恋人に今すぐなろうとするつもりはない。
ただ、俺は本当は京が嫌いなわけじゃないんだ。
俺は保坂を好きになった京が、いや、保坂に負けた自分が嫌だったんだ。」
「いつき…」
そうだ。
俺が情けないばかりに、気持ちに余裕がないばかりに、俺は京を傷つけたんだ。
「今の京は、幸せか?」
「え?」
「京が幸せなら、心から今の環境に楽しめているなら、俺は何もしない。
けど、俺の思い違いじゃないなら、…京、俺と昔みたくつるまないか?」
俺は抱きしめる腕を緩めて、そう言う。
すると、振り返って俺を見る京。
その、大きく見開かれた京の目には、俺の姿が映る。
──間違って、ないよな?
俺は確かに今も京が愛しい。
今すぐにでも、その唇を奪ってしまいたい。
けど、京はまだ、その瞳に保坂への想いを捨てきれてない。
『せめて、京との昔の関係を取り戻したい。』
それが俺の、今たった一つの強い想い。
その為なら、なんでもしよう。
俺は京以外要らない。
現に、俺はあれ以来、友達なんかよりセフレばかりをつくっていた。
京、……今度こそ。
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