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~京哉視点~
腕の力が緩められたのを感じて、後ろを振り向けば、そこには愛しそうに熱い視線をジッと俺に送るいつき。
今まで、こんないつきを見たことがあっただろうか。
俺は恥ずかしさから、目をそらす。
(なんでもバレちゃうんだな)
いつきは俺の『孤独感』に気付いてやがる。あんなちょっと、会っただけなのに。
いや、もしかして、いつきの方はいつも俺を見てたりして……
って、そこまでは考え過ぎか。
でも、いつきはどこか会長に似てる。
容姿とかじゃない。
目が。いや、勘の鋭さが。
俺が達也と、無理にでも笑って縋り付いている毎日の様子を、いつも会長は近くで見て、寂しそうな顔をする。
達也もたまに、そんな会長の様子を見て、俺の顔色を伺うが、俺はそう簡単に顔に出る方じゃないから、気付かない。
悔しいけど、達也は俺のこの思いに気付かない。
──けど。
会長と、いつきだけは別格だ。
いや、会長以上にすごいのはいつきだ。
それほどまでに、俺の全てを知っている人が他にいるだろうか。
「好きだから」
なんて言われたら、それまでだけど、
「幼なじみ」
ってのは、わかってる。
お互いを、余るくらいに。
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