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途端、カーッと、顔に熱が集まるのを感じる。
達也を押し倒したぐらいだから、京哉はキスぐらいで真っ赤になるような純なわけじゃない。
相手が「いつき」だから、それがとてつもなく、いや、無意識的に顔が赤く染まる。
目を見開き、頬を赤く染めて、口をパクパクする京哉に、いつきは笑いを堪えるのに必死だ。
「これは、……脈ありかなっ」
短くそう言うと、立ち上がって京哉に手を伸ばす。
「京のそんな反応が見れるなんて、予想外。
さっ、夕食食べてないでしょ?
一緒に食べよ」
「そ、そうだな」
伸ばされた手を掴んで立ち上がる。
一緒に食べるなんて、一年ぶりだ。
こんなにもあっさりと、よりを戻していいのだろうか。
「まっ、いっか」
それが俺達だ。
男の友情って、そんなもんだよな。
「なにが?」
「ううん、なんでもない。
それより、久しぶりだな。いつきと食べんの」
「だなっ」
意外と、あっさり戻ってきた繋がり。
そして、何よりも俺の心の支えであることは、間違いない。
少し、いつきは昔とは違う感情をさらけ出すけど。
嗚呼どうか、
この存在を、もう二度と俺のもとから手放したくない。
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