3555人が本棚に入れています
本棚に追加
/235ページ
~京哉視点~
次の日、
一応、自分の口で会長に「大丈夫そうだ」っていうことを伝えようと思って、会長の部屋に向かえば、
今日が休日なのをいいことに、明らかに愛を確かめあった後のような、グッタリした会長と、満足気に微笑む達也に迎えられた。
細かい過去のことや、いつきの告白などまでは触れないようにしたけど、取りあえず、
「こないだ仕事を拒絶したことなんかは忘れてくれ」
と言えば、会長はニッコリ艶やかに笑った。
「なんか今日の会長、すっごく色っぽい…」
「あったり前だっ、俺の「わああぁあーなんでもないよ、なんでもないっ!」
「はぁ…わかってる」
本当に見ていて飽きない人だ。会長は。
達也とのそういう話になると、いつまで経っても、この姿勢は変わらない。
「じゃ、邪魔者は帰るね」
ヘラッと笑って立ち上がると、達也が同時に立った。
「そこまで送ったる」
大した距離じゃないけど、まだ、こうやって達也と歩くことに胸が高鳴る。
「じゃあな、体育祭まで頑張ろうな。お互い」
「あぁ、また」
「おぉ、」
短い会話。
その中にも、俺は小さな幸せを感じてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!