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「はいっ、確かに渡したよ!
俺はちょい、これからサッカーやんなきゃいけないからー」
と言いながら、紗矢は走り去って行く。
サッカー部に所属しながら、広報部で並以上に働く紗矢。
京哉は結構、感心していた。
「面倒……?」
そんな彼が、面倒と言うんだ。
ますます何があるのか知りたい。
「部屋戻ってから見っか」
一人、そう言いながら京哉は部屋に戻った。
昨日の夜、
三谷に頼んだのは、いつきのデータ。
中三までのいつきは、俺はよーく知ってる。いつも一緒に居たし。
けど、高等部に入ってから今までのいつきを、俺は知りたい。
だから、高等部に入ってから今までのことを、三谷に調べてもらったのだが。
(……こんなに早く仕上がるなんて。流石っ)
「ただいまー」
中に人がいないのはわかってるが、習慣になってしまっている、この挨拶。
中等部に居る時は、勝手にいつきが上がり込んでたりしたから、「おかえりー」なんて返事が返ってきたものだ。
でも今は、お互い、互いの部屋の鍵を持っているわけでもないし、
いくら関係を修復したからって、いつきが上がり込んでいるわけではないようだ。
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