048 仮、恋人。

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「はいっ、確かに渡したよ! 俺はちょい、これからサッカーやんなきゃいけないからー」 と言いながら、紗矢は走り去って行く。 サッカー部に所属しながら、広報部で並以上に働く紗矢。 京哉は結構、感心していた。 「面倒……?」 そんな彼が、面倒と言うんだ。 ますます何があるのか知りたい。 「部屋戻ってから見っか」 一人、そう言いながら京哉は部屋に戻った。 昨日の夜、 三谷に頼んだのは、いつきのデータ。 中三までのいつきは、俺はよーく知ってる。いつも一緒に居たし。 けど、高等部に入ってから今までのいつきを、俺は知りたい。 だから、高等部に入ってから今までのことを、三谷に調べてもらったのだが。 (……こんなに早く仕上がるなんて。流石っ) 「ただいまー」 中に人がいないのはわかってるが、習慣になってしまっている、この挨拶。 中等部に居る時は、勝手にいつきが上がり込んでたりしたから、「おかえりー」なんて返事が返ってきたものだ。 でも今は、お互い、互いの部屋の鍵を持っているわけでもないし、 いくら関係を修復したからって、いつきが上がり込んでいるわけではないようだ。
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