048 仮、恋人。

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部屋に入って、まず俺がしたことは、いつもやってる広報部の仕事。 この時期は体育祭の内容とか、主力選手、注目競技なんかを載せた通信ものも作成しなくちゃいけないから、大変だ。 原稿とかは殆ど部員任せだけど、最終的な編集は俺の仕事。 広報部に入って、部長になったきっかけは、『達也に近づく為』だったから、高一の時は苦にも思わなかったし、むしろ、嬉しくて仕方なかった。 部長なんかに、高一の俺なんかがなれたことが。 けど、今は違う。 立たされているこの状況は、去年の真逆。 俺は広報部関係で有名になったせいか、生徒会に当選してしまってるし、 なにより、達也は今、会長と付き合っていて、俺はフラれた。 そして、しかもそれでもうだうだと達也の想いを引きずっている状態。 広報部の仕事にも、精が入らない。 「はぁ……」 そんなこと思いながらも仕事終わらせれば、三谷に渡された茶封筒が目に入る。 (それでも……) こうやって、いつきの情報なんかを手に入れることが簡単にできたのは、俺が部長だから、か。 そう思うと、なぜか少し心が軽くなった。
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