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俺の知らない、いつきを知りたくて調べあげさせたのに、知ったら知ったで、悲しくなる。
[俺を好きと言った]いつきも、
[色んな男を抱く]いつきも、
俺は知らない。
これから、ゆっくり本人に聞いてみようかな。
俺らはまた、元の関係に戻れたんだ。
クラスは隣だけど、中等部の時よりも全然近くなった。
これからお互いコンタクトをとれば、いつかまた、昔みたく笑えるだろう。
「なにしてんのー?」
時刻はもう、お昼時。
さっきまでは俺一人だったはずの部屋に、もう一人の声が響く。
「えっ!!?」
慌てて資料を片付けながら、声のする玄関口を見れば"いつき"が居た。
両手にはビニル袋。そしてなぜか、しっかりと室内に居る。
「なっ……んで中に?」
「鍵開けっぱだし。
おまけに入っても気付かないし。
びっくりしたよ、無防備すぎ」
そう言ってニカッと笑ういつき。
「そっか…開けっぱだった?びっくり。全然気がつかなかった。」
「そんな集中してたんだー」
「うん、ちょっと広報部の体育祭通信。」
「あー大変だな」
「まあね、」
いつきをまとめた、この資料だけは見られちゃいけない。
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