048 仮、恋人。

8/15
前へ
/235ページ
次へ
俺の知らない、いつきを知りたくて調べあげさせたのに、知ったら知ったで、悲しくなる。 [俺を好きと言った]いつきも、 [色んな男を抱く]いつきも、 俺は知らない。 これから、ゆっくり本人に聞いてみようかな。 俺らはまた、元の関係に戻れたんだ。 クラスは隣だけど、中等部の時よりも全然近くなった。 これからお互いコンタクトをとれば、いつかまた、昔みたく笑えるだろう。 「なにしてんのー?」 時刻はもう、お昼時。 さっきまでは俺一人だったはずの部屋に、もう一人の声が響く。 「えっ!!?」 慌てて資料を片付けながら、声のする玄関口を見れば"いつき"が居た。 両手にはビニル袋。そしてなぜか、しっかりと室内に居る。 「なっ……んで中に?」 「鍵開けっぱだし。 おまけに入っても気付かないし。 びっくりしたよ、無防備すぎ」 そう言ってニカッと笑ういつき。 「そっか…開けっぱだった?びっくり。全然気がつかなかった。」 「そんな集中してたんだー」 「うん、ちょっと広報部の体育祭通信。」 「あー大変だな」 「まあね、」 いつきをまとめた、この資料だけは見られちゃいけない。
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3557人が本棚に入れています
本棚に追加