052 京哉と京

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「じゃあ改めて聞くけど、俺が今までしてきたこと、京は全部知ってんのか?」 食堂に向かって歩きながら始まった、いつきの話。 「…まぁ、多分」 そうだ。 いつきは俺の知らない、たくさんの人を手にかけてきた。 俺を好きだと言えなかったいつきは、その欲のはけ口を、届かない想いを、……色んな人を抱くことによってぶつけてきたんだ。── 「じゃあ話は早い。 俺さ、そん中で三人だけ週一で関係持った奴らがいてさ、つまり、……セックスの相性のいいやつを三人選んで、関係を持ったんだ。 最低だろ?」 ──あぁ、それも知ってる。 現クラス 2年C組5番 加藤 俊吾 2年C組25番 宮田 朗 2年D組2番 阿賀野 新之助 資料には確か、この三人だけが、定期的に会っていると書いてあった。 そいつらとの中で、何か問題でもあったのだろうか。 「その様子じゃ、京はそれも知ってたみたいだね ……俺、情けないな」 悲しそうにそう言ういつき。 「で、そいつらに何か言われたのか?」 すかさずそう聞くと、いつきは苦い顔をした。 「そりゃあ、それなりに。 けど、元々そういうだけの関係だってお互いに理解していたし、話はついた。」
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