043 必然の突然

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「んー…でも…今から換えるのはちょっと…」 俺の言葉を聞いて、苦い顔をする会長。 「色々と理由があるらしいけど……やっぱり詰まってるからぁ…」 「どうしても……だめ、かな」 「……みたいだな」 と言って軽く肩を叩く達也。 まじかよ… 仕事にならなくなったらどうするんだ。 そう思って思わずガクッとなる。 「篠田先輩、そんなに東雲先輩とかいう人と仲悪いの?」 あからさまに青い顔をする俺に、安藤がそう聞いてくる。 「仲悪いっていうか……」 これから先、今までずっと目をそらしていた 《"いつき"との途切れたままの関係》 と向き合わなきゃいけないのかぁ。 いつまでも、幼い頃のまま仲良くいれることが当然の様に過ごしていたあの日々。 それでも失ってしまったこの絆は、また取り戻せるのだろうか…… 「あっ、この資料、挨拶がてらついでに東雲先輩に渡してほしいんだけど……」 思いつめていた僕に、思いだしたようにそう言って会長が渡したのは、俺に渡したのと同じ資料。 「どんな関係なのか知らないけど、これ渡しに一度会って、それで仕事にならないようだったら、どうにかします」 それでも俺にとっては充分酷な試練。
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