052 京哉と京

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「えっ… あの噂、マジだったの!!?」 「篠田様も、ついに彼氏できちゃったわけ!!?」 「ってかアレ、遊び人で有名な東雲じゃんか。」 「げっ、…ってか、あの二人だとどっちが受けなの?」 「どっちも似合わない…」 「うん、押し倒されてるとこなんて想像もつかない…」 そんな生々しい会話がなされる中、人混みを掻き分けてくる、一際目立つ茶髪頭の長身男。 ──保坂 達也。 ようやくやることを終え、昼食にありつけると思って食堂に行けば、この騒ぎ。 しかも運がいいのか悪いのか、丁度彼らのキスシーンを目撃。 そしてしかも、その後、顔を赤めた京哉の表情までたまたま見てしまったのだ。 (あれが、俺までをも押し倒して襲ってきた、篠田京哉なのか!!?) 固まってしまった達也の姿にいち早く気付いたのは、キスを仕掛けたいつき。 京哉は下を向いているせいで達也の登場に気付いていない。 「……馬鹿、こんなとこで、なんてことしてくれるんだ」 小さく呟く京哉。 いつきは内心、やはり脈ありだと確信しながら小さく笑う。 「見せ付けてやりたくなって」 いつきの一言に、京哉が顔を上げてみれば。 そこには、達也の姿があった。
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