052 京哉と京

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「‥…た…つや…?」 「ょ……よぉ」 何となくお互いに気まずい感じの空気が流れる。 小さくなりながらも達也が向かい側の席に座れば、周りはまた、騒ぎ出す。 「えーっと、京哉一人じゃなかったんだ?」 「……あぁー‥うん。 いつきも、ね。」 「どーっも」 あまり会話をしたことがなかったのだろう。 いつきと達也の間には、かなりよそよそしい空気が流れていた。 「そんな、二人で食べる予定があったんなら。 俺、別に無理に一緒に食べなかったんに…邪魔しちまってごめん」 京哉に対してなのか、 いつきに対してなのか。 軽く謝る達也を、いつきは品定めするように軽く見た。 (こいつが、京が狂うくらいに愛した男。──保坂達也。) そう考えると、無性に醜い感情から保坂の顔を殴ってしまいたくなった。 保坂は、何もしてないのに。 「ごめんな、ラーメンまで買わせちゃって」 「いーよ、全然」 「これ、ラーメン代」 「うんっ」 差し出されたラーメン代の小銭。 受けとると共に触れる指先。 それを軽く、変に意識してしまい緩んだ京哉の顔を、いつきは見逃さない。
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