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「‥…た…つや…?」
「ょ……よぉ」
何となくお互いに気まずい感じの空気が流れる。
小さくなりながらも達也が向かい側の席に座れば、周りはまた、騒ぎ出す。
「えーっと、京哉一人じゃなかったんだ?」
「……あぁー‥うん。
いつきも、ね。」
「どーっも」
あまり会話をしたことがなかったのだろう。
いつきと達也の間には、かなりよそよそしい空気が流れていた。
「そんな、二人で食べる予定があったんなら。
俺、別に無理に一緒に食べなかったんに…邪魔しちまってごめん」
京哉に対してなのか、
いつきに対してなのか。
軽く謝る達也を、いつきは品定めするように軽く見た。
(こいつが、京が狂うくらいに愛した男。──保坂達也。)
そう考えると、無性に醜い感情から保坂の顔を殴ってしまいたくなった。
保坂は、何もしてないのに。
「ごめんな、ラーメンまで買わせちゃって」
「いーよ、全然」
「これ、ラーメン代」
「うんっ」
差し出されたラーメン代の小銭。
受けとると共に触れる指先。
それを軽く、変に意識してしまい緩んだ京哉の顔を、いつきは見逃さない。
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