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やっぱり。
まだ京が保坂を好きであることは、確実だろう。
でも、その気持ちを忘れたいんだよな?京。
心の中で確認するように、自分で言い聞かせると、いつきはいきなり京哉を抱き寄せた。否、抱きしめた。
「保坂、」
「……っえ?」
突然のいつきの行動に、京哉はもちろん、呼ばれた達也も変な声をあげた。
「お前は京の気持ち、知ってるんだろう?」
「……ああ。」
真剣ないつきの口調に、達也も又、真剣に返した。
いつきの腕の中の京哉は、二人が何を話すのかがわからず、様子を見る。
京哉は亮太とかのように、決して小柄ではない。
故に、いくら長身のいつきが抱きしめたところで、大きい男同士が身を寄席あうなんとも言えない様なのだが。
美形が二人ということで、それはそれで、絵になる様。
「俺はこの学園に入るずっと前から、京を思ってきた。
今、俺たち二人は俗に言う、お前とあの一年の会長……高瀬だっけ?
あいつとお前みたいな"恋人"って奴にはまだなれてないんだ、本当は。」
何を話すのかと思えばそんなことを言い出すいつき。
京哉はただ、黙ることしかできなかった。
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