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「愛し合ってるわけでもなく、俺の一方的な好意と俺らの長い間の信頼と、俺らがすれ違っていた一年で、今、こうして学園中に俺らの"恋人"っていう仮の関係が成り立ってる。」
──いつきは何を言うんだ?
そればかりが頭をグルグル駆け巡り、いつきに抱きしめられたままの状態であるということを、思わず忘れてしまう京哉。
そんな風に戸惑う京哉を横目で一目確認しながらも、尚も真剣な口調で達也に話し掛けるいつき。
「俺は、……京を支える。京をおとす。京から保坂への想いを"思い出"にできるように、手を指しのべる。
そうするって言って、京と殆ど無理矢理にこういう関係を結んだ。
保坂も、噂とかで聞いていただろう?俺らが付き合い始めたって。」
「……あぁ。」
「それを聞いて、保坂は安心しただろう?
安心して、今日も簡単に、京と食事の約束をした。そうだろ?
保坂が、まだ中途半端な気持ちの京に対して一線を引いてたこと、──つまり、長い休憩時間を一緒に過ごさないようにしてきたことは、京に聞いたその事実や、人に聞いた話で知ってる。
そういう二人の間の小さな隙間が、京が気持ちを抑える努力につながってた。」
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