052 京哉と京

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「そのスタイルを崩さないでくれないか?」 「「え?」」 思わずよく意味がわからなくて達也と二人揃って聞き返してしまった。 「俺がしっかり京をおとすまで、今まで通りにしてくれないか?ってこと」 あぁ、なるほど。 ちょっと乱暴な言い方だが、言いたいことは伝わった。 俺の気持ちがぐらついて、 また、襲っちまうなんて展開もなくはない。 そこまではいかなくとも、苦しむのは目に見えてる。 だから、気持ちがしっかり落ち着くまで、……いつきを好きになるって所は納得いかないが、 まぁ、落ち着くまで。 しっかり友達としての境界線を引いてて欲しいってことか。 いつきの癖に生意気な。 こんなに俺のことわかっちまうのは、悔しい。 「わかった、そうする。 東雲、 ただこれだけは守ってくれよ? 京哉を傷つけたりするな、俺の親友を。」 「当たり前だっ。」 達也にもそれは伝わったらしく、変な約束が交わされた。 いい加減いつきの腕の仲に居る自分が恥ずかしくなってじたばたともがけば、意外と簡単に抜け出せた。 さっきまでは強く抱きしめていた癖に。 なんだかまた恥ずかしくなって、静かに食事を再会した。
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