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~京哉視点~
達也といつきと昼食べてから、その後の午後の授業を終え、帰寮の準備を整えたと同時にいつきが教室に現れた。
──ガラガラ
「京~、一緒に帰ろうぜ」
「あぁ、」
達也はといえば、会長さんが心配で仕方ないらしく、終業ベルが鳴ると同時に鞄を持って、飛ぶように帰っていった。
(会長さん、愛されてんな~)
………ずるい。
そんなことを考えてることは、流石にいつきにも見抜けないらしく、隣の空席を見て苦い顔をする京哉は、少し安心した。
(こんな小さなことでも、いちいち色々と言われたらたまったもんじゃない。)
いつきなら
【俺が保坂以上に、
京を愛してるじゃんか】
なんて、言いかねない。
こんな教室の中で。
「行こっ」
「荷物、それで全部か?」
「ん、そーだけど?」
「相変わらず、めちゃくちゃ持って帰るんだな。京は。」
「そう?
いつきが少な過ぎるんでしょ、ペシャンコじゃん。鞄」
「はははっ、そーかもね」
あぁ懐かしい、いつきと二人で歩く下校風景。
もう二度とないと思っていたけど。
人の考えって、いい意味にも悪い意味にも、裏切られるものだ。
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