夜道での話です

4/5
前へ
/9ページ
次へ
 明け方、男はボロいアパートに帰りました。 「あいつに俺の武勇伝を聞かせてやらないとなあ!」  男の娘は一人暮らしをしていたのです。  男が受話器をとると、ダイヤルもしてないのに声がしてきました。 「おまえ、ねこをひきころした極悪人だニャ?」  男は、おかしいとは思わなかったのか、自然に声を荒げました。 「ああ!?寝ぼけんじゃねえぞ。ドライバーが猫を轢き殺すのは当たり前だろうが!」  しばらくしてから返事が来ました。 「ふざけるなニャ。お前は避けられたのに、わざと猫を轢き殺したニャ」 「ああ!?猫を見てよける運転主がどこにいるんだ!?車に乗っていて、猫を轢くことより楽しいことなんてカーセ○ク○ぐらいじゃねえか!」  今度はニャーニャーという雄叫びのようななき声が聞こえてきました。  「お前が悪意の塊なのはわかったニャ。死刑にしてやるニャ。」  男はこれもしゃくにさわったようですが、怒鳴り声をあげる前に家のドアがバタンと吹き飛び、巨大なぶち猫が二足歩行で部屋に入って来ました。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加