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ここはエドシティー外れにあるちっぽけな長屋。
そう、この物語の少年はここに住んでいるのである。
「おっかぁ……大丈夫け?」
「げほっげほっ……大丈夫ほっぶほっ!」
長屋から声が聞こえてくる。
「あんちゃん、お腹空いたよぅ……」
「ウチさ金がねえけ、もう少す待つだ、きっとおっとぅが働いてきたお金が来る、な? も少す待とう」
このあんちゃんと呼ばれた立派な少年の名前は安島鶯(アジマオウ)。
グリードの少年である。
彼は父と母と弟と暮らしている。
「エドに来てからろくな事が無いねぇ……げほっげほっ!」
「おっかぁ、寝てねえと駄目だ」
と鶯は母親に寝るように促す。
「どんどんどんどんどん、あずまさーん! いるんでしょお? いい加減金払ってくださいよお!」
と突然、引き戸がノックされる音とノック音の声が聞こえてきた。
「オラん家はあずまだ! 人違いしねえでほしい!」
「あずまであってんでしょ?! 今回払ってくんないとここに住めなくなるよ?」
鶯は『あじま』と言っているつもりだが、他人には『あずま』に聞こえるようだ。
で、この後、お金が払えないため、家族全員、長屋を追い出されてしまった。
「あんちゃん、家無くなったよぅ」
弟が泣きながら鶯に訴える。
「……おっとぅ、何で帰って来ないだ……」
鶯が途方に暮れ、家族は近くの公園に住むことにした。
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