74人が本棚に入れています
本棚に追加
『そんなことあるのよ。フフフッ。』
また可愛らしい女の子の声が聞こえてきた。
『僕は夢でも見ているのか…』
総司は、頭を手で押さえた。
『夢なんかじゃないよ。私は桜の精だもの。』
また無邪気に可愛らしく笑う声が、桜の木から聞こえてきた。
『……桜の精?』
総司は驚いて、ずっと桜の木を見つめていた。
───その時。
桜の木から、
『キャアアアー。』
と言う叫び声が聞こえてきた。
『!?』
総司は、ハッとしすぐに木の近くに走り酔った。
『……え?』
総司は、思わず拍子抜けした。
何と木の上から可愛らしい女の子が落ちてきたのだ。
『キャアアアー!このままじゃ落ちちゃうー。』
少女は、目を強くつぶっていた。
───ドサッ。
『危なーいッ!!!!』
総司は何とか落ちてくる少女をギリギリで抱きしめることができた。
総司にお姫様抱っこされる形になった少女は、総司の顔を見るなり顔を火照らせた。
『……ありがとう。。。』
『おやおや、本当に桜の精が降ってきちゃいましたね…///』
総司の顔は、少女の顔を見るなり真っ赤になった。
と、同時に総司はある自分の異変に気がついた。
「ドキッ。ドキッ」
自分で、激しく心臓が高鳴っているのがわかった。
《この気持ちは何なんだ……胸が。。。》
総司がもう一度少女を見ると、少女はニコッと歯を出して笑った。少女は桜色の着物を纏っていて、本当に桜の精のように思えた。
─『あの…あなたは本当に桜の精なのですか?』
『フフッ。あなたがそう思ってるならそれでもいいわ。』
少女は微笑みながら言った。
『…ごめんなさい。そろそろ降ろして?なんだか恥ずかしいし…』
『…ああ!すみませんッ。。。』
総司は、慌てて少女を地面に降ろした。
『ぢゃあ、私はこれで。あっ…助けてくれたお礼にこれをあげる。』
少女は小袋を総司に渡すと、走ってすぐにどこかに行ってしまった。
『………………。』
総司は、ボーッとしながら消えていく少女を見つめていた。
『…いったいあの子は何だったんだろうか。。。。。』
不意に、総司は自分が手に持っている小袋が気になり、紐をゆるめてみた。
『金平糖だ…誠に綺麗な桜色の。』
総司は、金平糖を口に入れた。
『甘い…甘くて幸せな気分になるな。そう言えば、あの子の名前を聞くのを忘れてしまった………』
最初のコメントを投稿しよう!